2025年4月には、改正・育児介護休業法が施行されます。その概要については2024年7月4日の記事(https://miyajima-roumu.com/1202/)でもご説明申し上げましたが、施行が間近に迫っております。
今回からの記事で、それぞれを詳しく取り上げていきたいと思います。第一弾は「テレワーク導入の努力義務」について取り上げます。
2つの観点
少々ややこしいのですが、これは2つの観点から見る必要があります。まず1つ目は、短時間勤務が困難な業務に従事する労働者に対し、その代替措置として設ける措置の一つに「テレワーク」が追加される、ということです。現状では、3歳に満たない子を養育する労働者が希望する場合には、「1日の所定労働時間を6時間に短縮する短時間勤務制度」を利用させなければなりませんが、業務の性質上時短勤務が難しい労働者に対しては、フレックスタイム制や時差出勤制度等の代替措置を設けることができます。この中に「テレワーク」が加わる、ということです。
2つ目は、上記とは別に、3歳になるまでの子を養育する労働者へのテレワークの導入が「努力義務」として追加される、ということです。上記はあくまで時短勤務が難しい労働者に対する代替措置という位置づけである一方で、こちらは3歳になるまでの子を養育するという条件さえ満たせば広く利用できます。
市場調査からみるテレワークの必要性
三菱UFUリサーチ&コンサルティング株式会社「テレワークの労務管理等に関する実態調査」(2021年)によると、労働者が感じるテレワークのメリットは「通勤時間を節約することができる」が89.1%、「通勤による心身の負担が少ない」が82.4%となっており、テレワークの導入により通勤に伴う負担を軽減できることが読み取れます。
また子育て中の労働者は保育園等を利用していることが多いと考えられ、保育園の通園と出社勤務とを両立させることは、特に通勤経路に保育園がない場合などはかなりの負担となりますが、それも軽減することができます。このように、テレワーク導入の導入は、労働者の負担軽減という観点では大きな効果を挙げられると言えます。
ただ一点注意していただきたいのは、今回の改正でテレワークが義務付けられたわけではない、ということです。業種によってはテレワークの実施が難しいものもあるかと思います。ご自身の会社の実態等も勘案しつつ、ご検討いただければと思います