アルバイト等の雇用保険加入について

アルバイトやパートタイマー等の従業員を雇用保険に加入させるべきなのかどうかについては、明確な基準があります。具体的には、次の要件のいずれにも該当する場合には原則として雇用保険の被保険者となります。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  2. 31日以上引き続き雇用されることが見込まれること

1週間の所定労働時間とは?

まず「1週間の所定労働時間」とは、就業規則や雇用契約書等により通常の週(祝祭日、年末年始・夏季休暇等の特別な休暇を含まない週)において勤務すべきとされている時間をいいます。

1週間の所定労働時間が一定ではない場合(週によって変動する場合)については、それらの平均を算出した時間となります。なお、所定労働時間が1か月単位で定められている場合は、その時間を12分の52で除して得た時間(週単位に換算した時間)を1週間の所定労働時間とします。

この場合も、通常の月(祝祭日、年末年始・夏季休暇などの特別な休暇を含まない月)に勤務すべき時間で算出します。

31日以上の雇用見込み

「31日以上の雇用見込み」とは、31日以上雇用が継続しないことが明確である場合以外を指します。そのため、例えば雇用契約期間が31日未満であっても、契約が更新され得る旨の記載があったり、契約更新の記載がなくとも過去に同様の契約において31日以上雇用された実績がある場合などは、31日以上雇用の見込みがあると判断され被保険者となります。そのため、1) の条件を満たせばほとんどの労働者は被保険者となると考えられます。

ただ、上記1と2の条件を満たす場合であっても加入できない場合があります。例えば当該労働者が昼間学生(全日制の高校生、大学生、専門学校生など)である場合は、雇用保険に加入することはできません。これらの者は学業が本分であり、労働者のための制度である雇用保険に加入させるのはそぐわないということです。

逆に言えば、学生であっても学業が本分ではない者(定時制に在学の者、休学中の者、卒業予定で卒業後は引き続き当該企業に雇用される予定の者など)は、上記の条件を満たせば雇用保険に加入させる必要があります。

ダブルワークの場合 

最近増えてきているのが複数の企業で働く、いわゆるダブルワークです。雇用保険は社会保険(健康保険、厚生年金保険)とは異なり、いずれか一つの事業所(企業)でしか加入することができないのが原則です。そのため、複数の企業で働いており、かついずれも雇用保険加入条件を満たす場合は、主たる賃金を受ける雇用関係である企業で加入することとなります。ただ、65歳以上の労働者については、例外的に「2つの事業所の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上である」という条件を満たすと、労働者本人の申し出により特例的に雇用保険に加入できるという制度、いわゆる「マルチジョブホルダー制度」を利用することが可能です。

本制度についてはまた項を改めてご説明させていただきます。  

以上、雇用保険の加入条件についてご説明しました。なお、雇用保険の加入要件は2028年10月に「1週間の所定労働時間が週10時間以上」にまで拡大されることが見込まれています(本国会にて雇用保険法改正案が成立見込み)。今後の動向も注視が必要ですね。

コメントは利用できません。

宮嶋社会保険労務士事務所ではじめるキャリア

採用情報はこちら