就業規則はなぜ必要なのか

あなたの会社では就業規則を定めていますか?法律上、一定数の従業員を雇う会社でなければ「就業規則が無いとダメ」という訳ではありません。しかし、それはあくまで法律上の話しです。この記事を読まれている方の中には、会社の決まりごとや従業員の待遇等は、就業規則等の書面や記録には残さない。あるいは一部の経営層だけが確認できるようにして、従業員にはあいまいにしておく方が会社にとって不利にならないのでは?と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、実際には全くその逆で就業規則がない、または一部の人間しか確認できないことによって、会社が被る不利益の方が圧倒的に大きいというのが現実です。

就業規則は会社を守る規則でもある

なぜならば、労働基準法をはじめとした日本の労働諸法令は、労働者は「弱く保護されるべき立場」にあり、会社は「強者」とされているので、「労働者を守るのは会社の義務」という考えが前提となっています。そのため、労働者はさまざまな法律により守られていますが、会社を守ってくれる法律はそう多くはありません。そこで会社を守る法律として機能するのが「就業規則」となります。

なお中小企業庁の調査では、中小企業・小規模事業者の8,310 社において、就業規則を「策定している」と回答した企業の割合は 82.1%です。(出典:中小企業庁 中小企業の雇用状況に関する調査集計結果 https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/koyou/2017/171023koyou2.pdf

この調査発表は平成29年になりますので、働き方改革が進む現在では、この数字はさらに上昇しているものと考えられます。

就業規則がないと、どうなるの?

極端な例となりますがひとつケースを挙げてみます。仮に、あなたの会社に就業規則がないとしましょう。さらに勤務態度がよろしくない従業員がいる、とします。その従業員の上司や周囲の従業員は度重なる注意をしていました。しかし、一向にその従業員の勤務態度は改善しないどころか、ついには社内で大きなトラブルを起こしました。

会社としては周囲の注意にもかかわらず問題行動を起こしたことについて「何らかの処分としたい」と考えますが、この場合、いわゆる懲戒処分等をおこなうことができません。

なぜならば、あなたの会社には会社の法律である就業規則がないため、その従業員の問題行動が、就業規則の中でどのような処分に当たるのかという判断ができないためです。

結果として、度重なる注意を受けていたにも関わらず問題行動を起こした従業員に、会社は何も処分ができないことになります。 このような事態が起こってしまうと、問題行動を起こした従業員の改善を促せないばかりか、さらには周囲の従業員のモチベーションやエンゲージメントに悪影響を及ぼしかねません。

就業規則を作りたいけどどうすればいいの?

では、どうすれば就業規則をつくれるのか?まず、休日や勤怠の〆切日等の自社の決まりごとを整理してください。文字にはなっていないが何となく「共通認識」となっていること(いわゆる慣行)も決まりごとのひとつです。

決まりごとを一つ一つ挙げて、それを文字化することで就業規則という会社の法律を作り上げることになります。就業規則は会社を守るだけではなく、従業員が安心して働くことができ、働くことへのモチベーションやエンゲージメントにも良い影響を与える必要不可欠なものです。

最後にもう一度お伺いします。あなたの会社では就業規則を定めていますか?

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