在宅勤務と出社勤務

2021年10月緊急事態宣言が全国で全面解除され、それを受けた報道番組の街頭インタビューには様々な声が寄せられていました。

「在宅勤務になれてしまうと止められない」

「せっかく同居の親の介護と両立できていたのに・・・・」

「人との接触にはまだ不安があります」

在宅勤務から出社勤務へと戻されていることへの不満や不安の声がおおく聞かれます。また今年、社会人となった新入社員は初めての出社を心待ちにしていた。など、さまざまな意見があることがうかがわれます。

消極的選択肢としての在宅勤務

また政府は各事業主にも不要不急の外出を避けるという目的のため、在宅でできる仕事はできる限り在宅で行わせるようと、目標達成率をかかげて協力を求めました。事業主は緊急事態宣言下で、テレワーク体制の整備を努力し、また、従業員も不安を抱えながら在宅勤務をスタートしはじめました。

最初の緊急事態宣言から1年以上が経過しました。慌てた状況でスタートした在宅勤務ですが、会社員は組織の指示に従うことを得意としているので、在宅勤務への適応もはやく、比較的スムーズでした。今や在宅勤務を自分流のライフスタイルとして形成している方々もおおくいらっしゃるご様子です。

ちなみに「アベノミクス」が掲げた成長戦略である「人材の活躍強化」として、2019年4月から施行が開始された「働き方改革関連法」は、労働者のワークライフバランスを重視した柔軟な雇用形態を整備することを推奨し、その一案として、在宅勤務を含む「テレワーク」の普及に本腰を入れ始めていましたが、奇しくも、新型コロナウィルスが強力に政府の政策を後押しする形となることは、皮肉な事実です。

そして、宣言解除を受けて社員の出社再開に転じる企業が増えていて、企業の6割が出社比率を「上げる」としたものの、出社比率を変えず現状を維持するとの回答も4割に上ります。(出典:日本経済新聞「社長100人アンケート」

在宅勤務と出社勤務

一方、在宅勤務実施者のうち継続を希望する人の割合は78.6%にまで高まっています。

(出典:パーソル総合研究所 https://rc.persol-group.co.jp/news/202108171000.html

会社が出社勤務を要請する理由の多くは、社員間のコミュニケーション不足による生産性低下です。さらに業界によっては対面でないと自社の強みをアピールできない職種や業務もあります。こうした場合、在宅勤務のデメリットは社内に限らず、社外への影響を及ぼすこともあります。

また、職場勤務に比べ在宅勤務の生産性が低いと答えたのは企業が92%、労働者が82%とのデータが出ています。(出典:内閣官房 コロナ禍の経済への影響に関する基礎データ

話を戻しますが、多くの会社にとって現行の在宅勤務は、会社、従業員ともあらゆる事態の想定に備える準備ができない状態で、見切り発車で導入した(導入を余儀なくされた?)勤務制度ではあったものの、会社は規程や運用等を追いかけて対応してきました。

また従業員はやっと自分流のリズムをつくったのにも関わらず、会社から「緊急事態宣言が解除されましたので出社して下さい」と言われてしまい、抵抗感を持つことにつながったようです。

緊急事態宣言が解除されたものの、未知のウィルスへの不安は払拭されていません。しかし会社とは営利を目的として事業をおこなうものであり、労働者はその法人と契約を結び労働を提供して賃金という対価をうけとるといった原則を考えると、会社が生産性を上げるためにその妨げとなる要素を排除することは当然ですので、出社勤務を命じることは自然な流れと考えられます。

また、会社の生産性が上がることは従業員への給与に直接関わることです。もちろん、会社は個々の従業員の生活への配慮することも忘れてはなりませんが、従業員も出勤指示の意味を考えるとその指示も受け入れることはできるのではないでしょうか。

収入減の不安を抱えながら、在宅勤務の継続を希望するよりも、会社の一員として生産性を上げること目的として、感染リスクを図りながら、新型コロナウィルスまん延以前を上回る売り上げを達成することを目標としつつ、気が付いたら新型コロナウィルの猛威が終息を迎えていたといったことになることを期待しています。

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