IPO準備に労務デューデリジェンス(労務DD)が必要な理由

人事労務の問題は、事業の継続性に大きな影響を与える問題になります。そのためIPOを検討するに際しては、「自社の労務上の課題はなんなのか?」を明確化にし、経営者が理解・把握するためも、現在の状況を分析することが必須です。

コンプライアンス(法令順守)が第一

IPOにおける審査では、コンプライアンス状況が重点審査項目となっており、その中には労働関係諸法令の順守状況も含まれています。とりわけ代表的な労働関係諸法令である労働基準法におけるいわゆるサービス残業による賃金未払いは影響が大きいものです。

法令順守という面はもとより、未払賃金は財務諸表の負債に計上されます。また将来の事業継続性においても、継続的に計上されることが想定される場合、営業利益を圧迫するためIPOに向けては重視すべき課題となります。

また労働者派遣法、職業安定法など労働に関する許認可を受けて、事業活動をおこなっている企業にとっても、知らずしらずのうちに実態が偽装請負とみなされる可能性がないかどうか。のチェックは必ずおこないたいものです。

このように法令の順守状況は事業の継続性に大きな影響を与えます。

財務諸表の適正性と労務の関係

前述のようにサービス残業などは「残業した段階で労働債務が確定」します。つまり会計上は「未払い労働債務が存在」することになります。既往の労働に対する労働債務を計上していない財務諸表は信憑性に欠けると判断されます。

2020年4月1日から. 労働基準法の一部改正により、賃金債権は3年の時効となり、未払いが発覚した際に企業業績に与える影響が大きくなりました。IPOを検討するうえで、大きな影響を与える事項であるとともに、将来の訴訟リスクもより大きくなりつつあります。

人件費を正しく計算し財務諸表に計上することは、いっぽうでは営業利益が減少します。すると、その企業のビジネスモデルは未来に向かって継続的に一定の営業利益を出すことが不可能なのではないか?と考えられ上場基準を満たすことがむずかしくなります。

アルバイトなどを大量に雇用している事業なども要注意です。この場合、社会保険の不適切加入や算定基礎額や標準報酬の不適切な申告など、財務諸表に法定福利費が正しく計上されていないケースがおおく発覚しています。(公租公課の未払い)

将来の訴訟リスクはありませんか

現在は、問題が顕在化していないけれど、将来に訴訟リスクの可能性がある。たとえばタイムカードや出勤簿などで過重労働が確認されるなど、将来に労働者の健康被害の予見できる場合は、万が一過重労度による健康被害(循環器疾患や精神疾患)が起こると営業利益を吹き飛ばすほどの損害賠償のリスクを背負うことになります。

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スタートアップ企業、拡大成長期の企業支援実績を多く持っているため、様々なノウハウが弊所にはあります。理由は所長が開業社会保険労務士として、日本で初めて証券会社において上場審査の監修をおこない、その後も継続的に上場準備企業に対しコンサルティングを数多くおこない、株式上場を支えてきたからです。この領域を強みとする社会保険労務士事務所は、多くありません。

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