従来の育児休業と出生時育児休業の違いについて

育児休業には「(従来の)育児休業」と「出生時育児休業」の2種類があります。後者は「産後パパ育休」とも呼称され、主に男性が取得することが想定されております。 これらの制度について、違いは大きく二つあります。一つは取得できる時期・日数です。

従来の育児休業は

従来の育児休業は、原則として子どもが1歳に達するまで取得できるのに対し、出生時育児休業は、子どもの出生後8週間以内の期間の中で、4週間まで取得ができるものとなっております。女性が出産した際の産後休暇が子どもの出生後8週間以内とされていることを念頭に置いた期間設定だと思われ、産後の女性に寄り添うことが期待される制度です。

大きな違いはどこなのか

最も大きな違いですが、期間中に就業ができるかどうかという点についてです。従来の育児休業においては、休業期間中は原則として就業することはできませんが、出生時育児休業については、労使協定を締結した場合に限って、労働者が予め合意した範囲で休業中に就業することが可能です。

ただし、無制限に就業できるとあっては育児休業の意味がありませんので、就業できる日数には一定の制限があります。すなわち、就業日数の合計が、出生時育児休業期間の所定労働日数・所定労働時間の2分の1以下であることが必要です。例えば28日間の出生時育児休業を取得し、その間の所定労働日数が20日である場合、就労できる上限は10日間・80時間となります。この点についても、主に男性が取得することを前提とし、休業期間中もある程度就業できるような柔軟な制度としたと推測できます。

大前提として

ただ、いくら就業できるといっても、あくまでそれは労働者からの申出に基づくことが大前提であることに注意が必要です。そもそも育児休業とは休業中の就労義務を消滅させる制度ですので、事業主から労働者に対して一方的に休業中の就労を求めたり、もしくは就労の申出をするよう求めるなどということはあってはいけません。「育児休業を取得しますが、この日は働けます」という労働者側からの申出があって初めて、就労が可能になるということです。

考慮すべき事項

また、出生時育児休業期間中には要件を満たせば出生時育児休業給付金が支給され、社会保険料も免除となりますが、就業した日数によってはそれらを受けることができなくなる場合もあります。このように、出生時育児休業期間中は就労が可能とはいえ、考慮すべき事項が多くございますので、くれぐれもご注意いただければと思います。

コメントは利用できません。

宮嶋社会保険労務士事務所ではじめるキャリア

採用情報はこちら