間近に迫る社会保険適用拡大について

2024年2月5日の記事(社会保険の適用拡大について)にてご説明した通り、今年の10月1日より、特定適用事業所の要件が緩和され、社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金保険)に加入しなければならない従業員の範囲が拡大されることになっています。

範囲拡大の詳細については前回記事に説明を譲ることといたしまして、今回の記事では実際に特定適用事業所に新たに該当した場合の対応についてまとめていきます。

1.特定適用事業所とは

まず特定適用事業所について簡単にまとめておきます。特定適用事業所とは、今年の10月より「現在の厚生年金被保険者数が51人以上」の事業所と定義されます。9月以前の定義が「101人以上」でしたので、この部分において要件が緩和され、対象となる事業所が増加することになります。なお人数は、事業所ごとで見るのではなく、法人番号が同一であるすべての適用事業所の人数を集計して判断します。例えば本社の他に支社があるのであれば、それらを合算して集計することとなります。

2.10月から新たに該当する場合

10月から新たに特定適用事業所に該当することが見込まれる事業所については、日本年金機構より9月上旬までに「特定適用事業所該当事前のお知らせ」が送付される予定です。このお知らせが届いた場合は、10月より特定適用事業所に該当することがほぼ確定となりますので、必要な準備を進めて頂ければと存じます(次項以下にて詳説いたします)。

またこのタイミングでは該当しなくても、該当する可能性が生じたタイミングで随時(毎月上旬)「特定適用事業所に関する重要なお知らせ」が送付される予定となっておりますので、ご留意いただければと存じます。

3. 該当した場合の必要な準備

3-1.加入対象者の把握

新たに特定適用事業所に該当した場合には、新たに加入させるべき対象者を把握することが必要です。新たな加入対象者は、以下の全ての項目を満たすパート・アルバイトの方となります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満(契約上の所定労働時間です。臨時に生じた残業時間は除きます)
  • 所定内賃金が月額8.8万円以上(残業代や通勤手当等は除きます)
  • 2か月を超える雇用の見込みがある
  • 学生ではない(休学中や夜間学生は「学生ではない」の条件は満たしません)

3-2.対象従業員への周知

新たな加入対象となる従業員に対し、今回の拡大内容が確実に伝わるよう、社内イントラネットやメールなどを利用して社内周知に努めることが重要です。また必要に応じて、社内説明会や対象従業員に対して個別の面談を行うことも有効です。その際、社会保険に加入することのメリットや、今後の労働時間についてなどを話し合うことができれば良いでしょう。

3-3.書類の作成・届け出

必要な書類(被保険者資格取得届)を作成し、提出します。

まとめ

社会保険の適用拡大について、該当した場合の流れについて簡単にご説明させていただきました。なお今回ご説明した内容については、日本年金機構の特設サイト(https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html#cms01)にも詳細が詳しく記載されておりますので、こちらも併せてご参照いただきながら準備を進めて頂ければと存じます。

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