令和7年雇用保険法改正1-出生後休業支援給付の創設について

日本において少子化は深刻な問題となっていますが、その進行はとどまるところを知らず、2023年に生まれた子どもの数は75万8631人(※1)となっています。これは過去最少であった前年の数値より5.1%減少しており、国が統計を開始して以来過去最少を更新しています。

この状況が続けば、人口減少により近い将来、経済・社会システムの維持が困難になることは火を見るより明らかです。こういった状況に対しては国も「日本のラストチャンス」と銘打ち、様々な対策を検討しています。

それは児童手当の拡充、「子ども誰でも通園制度」の創設、「子ども金庫」の創設など多岐にわたりますが、今回はその中でも「出生後休業支援給付」についてご説明したいと思います。

出生後休業支援給付とは

「出生後休業支援給付」は、ざっくり言うと、夫婦そろって育児休業を取得した場合、一定期間に限って育児休業中の給付額が「休業前の手取り額」に匹敵する額になるように設けられる新たな給付金です。令和7年4月の雇用保険法改正から設けられる予定となっています。

国の資料(※2)によると、「子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業が明けてから8週間以内)に、被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合、被保険者の休業期間について28日間を限度に、休業開始前賃金の13%相当額を支給する」というものになります。

わかりやすく言うと

この制度は父親が出生時育児休業制度(いわゆる「産後パパ育休」)を利用することを念頭に置いており、例えば子の出生後に父親が出生日から28日間の(出生時)育児休業、母親が産休から引き続いて育児休業を取得すれば、父親にはその28日間、母親には産休が明けた育休初日から28日間、休業開始時賃金の13%相当額が支給されます。

 この13%という割合ですが、もともと育児休業給付金が「休業開始日から180日間」については休業開始時賃金の67%が支給されるということが前提としてあって、両者を合算すれば80%となります。

80%という数値は、休業前の額面の給与額から源泉控除分(所得税、社会保険料、住民税など)を差し引いた額とおおむね一致しますので、休業前の手取り金額とほぼ同じ額が給付されるということになります。

まとめ

育休制度を利用しなかった男性が挙げた要因の一つが「収入を減らしたくない」である(※3)ことから、この給付金によって、男性の育休取得の更なる促進が期待されます。なお、当該給付金の詳細な申請方法等についてはまだ明らかになっていない部分もありますので、判明次第またご説明させていただきます。

この令和7年4月に改正が予定されている雇用保険法ですが、ほかにも「育児時短就業給付」の創設なども予定されています。これについてはまた項を改めてご説明させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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