【IPO準備期】インターンシップを受け入れるときの注意

インターンシップとは、学生が実際に仕事を体験する制度のことで、“就業体験”や“就労体験”とも言われています。

欧米の多くの企業がインターンシップ制度を採用しているといわれており、日本でも2000年代より徐々に大手企業から採用され始め、今では就活前に就業体験できる貴重な経験となっています。

スタートアップにおいても優秀な学生を採用したい。大手企業に応募される前に自社を知ってもらいたい等の理由でインターンシップを導入する企業が増えています。

インターンシップの労働者性基準とは

就業体験を通じて採用、就職のミスマッチを防ぐという効果もありますが、アルバイトと区別のつかないものもあり、インターンシップの名のもと実質的には労働そのものにもかかわらず賃金が支払われない事例もあります。

インターンシップにおける労働者性の判断の基準となるものは下記の厚生労働省からの通達です。

『一般に、インターンシップにおいての実習が見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定される労働者には該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生との間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられ、また、この判断は、個々の実態に即して行う必要がある』

(平成9・9・18 基発636号)

  1. 学生が行う当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属するか否か
  2. 使用従属関係が認めらえるか否か

この2点が判断のポイントになります。

インターンシップと称して数週間にわたって電話営業をかけたり、飛び込み営業をさせる。いうことは、職業体験という趣旨を超えて「労働」ととられえるのが自然ということになります。インターンシップということであれば、数日間にわたっても、いろいろな業務を数時間程度に体験するということが限度ではと思います。

もうひとつの注意点

またもう一つ注意しなければならないことがあります。学生が会社に向かっているときや帰宅時、作業中の事故に関しては労働ではない以上、労災保険の適用を受けることはできません。したがって民間の傷害保険などに別途加入もしくは怪我や事故などについては自身の健康保険などで対応する旨の書面をとるなどの措置が必要になります。

人事も受け入れる部署もインターンシップの本質を理解して、トラブルにならないように受け入れることが大事です。IPO準備期間中にインターシップでトラブルにならないように、相互に注意していきたいものですね。

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