令和7年雇用保険法改正2-育児時短就業給付の創設について

前回の記事では、「出生後休業支援給付」についてご説明いたしましたが、今回の記事では「育児時短就業給付」についてご説明したいと思います。

育児時短就業給付とは

「育児時短就業給付」とは、2歳前の子どもを養育する雇用保険の被保険者が時短勤務をしている場合、時短勤務中に支払われた賃金額の10%を給付するという制度です。こちらも前回の記事でご紹介した「出生後休業支援給付」と同じタイミング(令和7年4月)で設けられる予定となっています。

本制度の背景を推察 

この制度の背景には、女性特有の就労状況があると考えられます。国の資料(「職業安定分科会雇用保険部会資料 育児時短就業給付(仮称)の創設について」)によると、正社員として働く女性の比率は、年齢を重ねるにつれ低下していくという状況となっています。

具体的には、正規従業員としての比率が最も高いのが25~29歳の59.7%。以降は右肩下がりとなっており、特に結婚した女性においてその傾向は顕著です(いわゆる「L字カーブ」)。また男性と比較しても、男性は年齢を重ねても正社員としての就業率はそこまで変わりません。

共働きの夫婦に子どもが生まれた場合、ほとんどの場合において女性が時短勤務を選択しているという現実もあることから、子育ての負担が女性に偏りがちである状況が見て取れます。

経済的負担の軽減

 「育児時短就業給付」の創設により、時短勤務を選択する女性の賃金月額減少をある程度カバーすることで経済的負担の軽減を図ると共に、給付の対象となる子どもの年齢を2歳未満とすることで、早期復職へのインセンティブとなることが期待される制度となっています。

 なお、給付の申請方法など詳細は現時点では不明となっておりますが、恐らくは高年齢雇用継続基本給付金のように、事業者から時短勤務者の毎月の給与額をハローワーク等に申請し、それをもとに給付額を決定・支給していくという流れになるかと思われます。詳細が判明次第、追ってご説明させていただく予定です。

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