今年も地域別最低賃金が改訂され、10月中に各地域において順次発効予定となっております。上げ幅は全国加重平均で51円と過去最高額となっており、改定額の全国加重平均額も1,055円と、昨年度の1,004円と比較して大幅に上昇しております。※1
例えば東京では1,113円から1,163円と50円増加しておりますし、北海道や茨城、栃木、岐阜、静岡、三重、広島については初めて1,000円台に到達しております。また各種報道でも話題となっておりますが、徳島では896円から980円と一気に84円上昇しておりまして、この上昇幅は異例と言えます。
※1 全国の地域別最低賃金についてはこちらも併せてご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html
最低賃金の定め
最低賃金の定めは、いわゆる強行法規となりますので、仮に最低賃金を下回る労働契約や就業規則等の定めがなされた場合は、その部分については無効とされ、最低賃金と同様の定めをしたものとみなされます(最低賃金法第4条2項)。また最低賃金額以上の賃金を支払わなかった場合は、50万円以下の罰金に処されます(同第40条)。
支払われる賃金が最低賃金額以上となっているかどうかを調べるには、「最低賃金の対象となる」賃金額と、適用される最低賃金額を以下の方法で比較します。※2
- 時間給の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)
- 日給制の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
- 月給制の場合
月給÷1カ月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
- 出来高払い制その他の請負制によって定められた賃金の場合
出来高払い制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払い制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間給)と比較します。
※実際の計算方法については、厚生労働省の以下ホームページが参考になります。
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-13.htm
「最低賃金の対象となる」賃金とは
「最低賃金の対象となる」賃金とは、いわゆる所定内賃金(毎月支払われる基本的な賃金)となります。例を挙げると基本給、諸手当(ただし通勤手当、家族手当、精皆勤手当は除く)が該当します。そのため、毎月決まって支払われるわけではない賃金(例えば賞与、結婚手当など臨時に支払われる賃金、残業代など)は最低賃金の計算から除外することとなります。ゆえに、いわゆる固定残業代は「残業代」にあたるため、最低賃金の計算には含まれないことに注意してください。
以上、最低賃金についてご説明いたしました。来月から順次発効となりますので、発効以降の労働については改定後の最低賃金にて給与計算を行わなければなりません。くれぐれもご注意いただければと存じます。