実務に携わりつつ社労士の資格も取得。IPO支援の最前線で学び続ける

T.F
IPO労務コンサル部門

未経験で社労士事務所の門を叩いてから9年。今ではIPOを目指す企業を支援する「労務デューデリジェンス(労務DD)」のスペシャリストとして活躍しているのが、T.Fさんだ。
法人営業からキャリアをスタートさせた彼が、なぜ社労士の世界へと進んだのか。そして、働く中で何を感じ、どんな未来を描いているのか。人と組織に関わる仕事を通じて、自身のキャリアを積み重ねてきたT.Fさんに話を聞いた。

「人と組織に関わる仕事がしたい」──営業から社労士の道へ

T.Fさんのキャリアの原点は、電機メーカーでの法人営業だ。
「業務用冷凍機や空調機器を扱い、価格や納期の調整、売上管理などを担当していました」と振り返る。営業という仕事を通して多くの人と関わる中で、「人と組織の関係」に興味を持つようになったという。
「学生のころから組織論や人事に関心がありました。人がどうすれば気持ちよく働けるのか、どうすれば組織がうまく回るのか。そうしたことを仕事として考えたいと思うようになったんです」
転職サイトで見つけた「未経験OK」の社労士事務所。面接を受けた際に感じた柔らかな雰囲気、そして当時は珍しかったIPO支援への取り組みが決め手になった。
「”社労士”と聞くと堅いイメージがありましたが、実際に面接に行くとまったく違う印象でした。IPO支援という新しい取り組みに挑戦しているのも魅力でしたね」
そうしてT.Fさんは、新しいキャリアの扉を開いた。

定型業務からIPO支援へ──”攻める社労士業務”のやりがい

入社後しばらくは、入退社手続きや給与計算などの定型業務を担当していた。数年後、営業経験を買われて見積もり対応や新規顧客の窓口を任されるようになり、そこから業務の幅が大きく広がっていった。
「労務DDでは、上場を目指す企業の労務体制を調べ、法令遵守の観点から整理していきます。給与計算や社会保険の手続き、就業規則の整備状況などを確認していくのですが、会社ごとにやり方が異なるケースが多いです。毎回”初めての案件”という気持ちで取り組んでいます」
企業の上場を支えるこの仕事は、緊張感とやりがいが隣り合わせだ。
「自分が担当した企業が上場を果たす瞬間は、やはり感慨深いものがあります。派手に喜ぶようなことはありませんが、この仕事をしていて良かったなと実感します」

チームで支える信頼──共有と確認を重ねる日々

かつての営業職は、個人の裁量が大きい仕事だった。だが、社労士事務所での仕事はまったく異なる。
「今の職場では、情報共有と確認の積み重ねが基本です。役所への手続きひとつでも、必ず根拠を確認してから進める。その慎重さが信頼につながると感じています」
現在は、メイン業務として労務DDや新規顧客の導入支援を担当。わからないことがあればすぐに相談できる環境だという。
「一人で抱え込まず、常に相談しながら進めることで、自分の知識や判断力も磨かれていきます。周りにも相談しやすい雰囲気があり、入社当時からずっと居心地が良く成長できる職場環境だと思っています」

9時から18時まで集中して働く。生活リズムも安定

一日の始まりは9時。午前中は打ち合わせや報告書の作成、午後は労務相談への対応や改善提案、給与計算、見積書の作成などを行う。
「ルーティンワークもありますが、日々発生する案件に対応していく仕事が多いです。お客様の状況に応じて柔軟に動くことが求められますね」
繁忙期は年末調整のある12~1月と、年度更新や定時決定のある6~7月。それ以外の時期は、18時半から19時には仕事を終えているという。
「以前の営業職に比べれば、残業も少なくなりました。メリハリをつけて働けるのがいいところです」
服装も比較的ラフで、来客や外出時のみスーツに着替える。昼食は事務所でとることが多く、「最近はマック率が高めです」と笑う。休日は愛犬との散歩が何よりのリフレッシュになっている。

「場当たりで終わらせない」──根本から解決する力を磨く

労務相談やデューデリジェンスの現場では、目の前の課題に対処するだけでなく、その背景を見極める姿勢が大切だとT.Fさんは言う。
「場当たり的な対応で終わらせないことを意識しています。表面的に問題を解決しても、同じことが起こる可能性がありますから。根本的な原因を探って、お客様と一緒に”本当にできる解決策”を考えるようにしています」
今後は「特定社会保険労務士」の資格取得を目指している。
「紛争解決など、より専門的な分野にも対応できるようにして、社労士としての幅を広げたいです」

「一緒に未来をつくっていく仲間へ」

最後に、これからこの事務所を目指す人たちへメッセージをお願いした。
「この仕事は、法令の知識だけでなく、お客様の話を丁寧に聞く姿勢や、チームで支え合う力が大切です。今いる人、そしてこれから来てくれる人が、事務所の未来をつくっていく仲間です。一緒にその未来を築いていきましょう」